歯周病

桶川の歯医者|アズ歯科 桶川院

歯ぐきから血が出たら歯肉炎?

「歯みがきしていたら出血した」なんてことはありませんか?   お口をゆすいで血が滲んでいたら心配になりますよね。   その原因は、おそらく歯肉炎です。   このように、歯垢(プラーク)が歯ぐきの周りに溜まってくると、 炎症を起こしてしまい、少しの刺激で出血しやすくなるのです。   さらに進行すると歯周病になり、歯を支える骨が溶けてしまいます。 そうなる前に、歯垢を除去して歯肉炎を治す必要があります。   実際の治療を見てみましょう。   20代の女性です。 「歯みがきをしていたら出血した」というお悩みで来院されました。   歯ぐきを見てみると腫れており、歯肉炎であることがわかります。   エアーを吹きかけると、歯ぐきがめくれて中が見えました。 歯肉炎になった歯ぐきは腫れてブヨブヨしているのです。 そこには歯垢が溜まっています。 歯肉炎になった原因は、この歯垢中に含まれる歯周病菌です。   治療では、この歯垢をきれいに除去することを徹底していきます。 スケーラーと呼ばれるこのような専用の器具を用いて、取り除きます。 この処置を歯科医院ではクリーニングと呼んでいます。     クリーニング直後の歯ぐきの状態です。 歯垢はなくなりましたが、歯肉炎になっていた歯ぐきは腫れて赤くなっています。   処置後も家で毎日のセルフケアを徹底しなければなりません。 食後8時間程度で歯垢はまた付いてきます。 しかし初期の歯垢は歯にくっついている力が弱く、ご自身で歯みがきすることで簡単に取れるはずです。   クリーニングをしてから1週間たった時点の写真です。 歯ぐきの腫れは改善してきましたが、赤みはまだ少し残っています。 出血は以前よりおさまったようです。   この後、再び歯周病の検査を行い、 歯周ポケットの奥に付いている歯石があれば、 さらなる歯周病治療を施術する必要があります。   歯周病は、Silent Disease(静かなる病気)とも表現され、ひどくなるまで病気と自覚されることの少ない病気です。 痛みが出てくる頃にはかなり進行しており、治療しても完全に治らないケースが多いのです。   そうなる前の歯周病のサインとして、 歯みがきした時に出血するかどうかが重要なのです。   気になる方は一度歯科医院を受診して、しっかり検査しましょう。   治療期間 1ヶ月 治療費 保険診療 治療のリスク 再発する可能性がある  

2023.04.27

歯みがきして出血したら?

「歯みがきしていたら出血してくるので気になって」   歯科医院を受診される患者さんから聞くお悩みとしては、よくあるものです。   たいていは歯肉炎で、 歯みがきを徹底すれば治るのですが、 中には出血の原因が違う場合もあるので、ご紹介します。   奥歯の歯ぐきから出血するというお悩みでした。 銀歯のふちが少し腫れているのがわかります。   別の角度から見てみると、腫れがわかりやすいですね。 ここに歯ブラシを当てると出血するようです。   レントゲンを撮ってみます。 歯の付け根のあたりが黒くなっており、炎症により骨が吸収していることがわかります。 炎症が起きている位置から歯に亀裂が入っている可能性が高いと判断しました。   腫れているところの歯周ポケットを触知すると、歯の根元まで炎症が進んでいることがわかりました。 歯に亀裂が入っていて炎症が起きている場合、抜歯をしなければ腫れは治りません。 このまま放置すると歯周病が進行し、骨がどんどん溶けていってしまうので、 抜歯をして炎症を食い止める必要があります。   抜歯直後は出血します。 この血が固まってカサブタになり、傷が治っていきます。   抜いた歯を見てみると、歯の付け根から根元まで亀裂が入っていることがわかります。 これが今回の歯周病および歯ぐきの腫れの原因だったわけです。 歯根の周りにブヨブヨしたものがついていますが、 これはレントゲンで黒く見えていた部分であり、 亀裂から侵入した細菌により骨が溶けて代わりにできた感染組織です。   抜歯して3日後の状態です。 カサブタができており、歯ぐきの腫れは改善してきています。 痛みもないとのことでした。   抜歯して3週間後の状態です。 まだ歯ぐきに凹みがありますが、色は周りと同じくらいになってきました。 もう少し経つと形もより馴染んで凹みはなくなります。   別の角度から見てみます。 腫れはなくなり、炎症は治癒しました。 この後は歯ぐき、骨の回復を待って、再び噛めるようにするために補綴(ほてつ)治療を進めます。 いわゆるインプラントやブリッジ、部分入れ歯などです。   いかがでしたか? 歯みがきしていて出血したら、まずは一度歯科を受診してみてください。 軽度な歯肉炎であれば適切な歯みがきを続けることで治りますが、 別の原因があった場合、放置すると病気が進行する可能性があります。   治療期間 1ヶ月 治療費 保険診療 治療のリスク 補綴治療が必要である  

2023.02.07

歯ぐきの中に歯石が隠れてる?

歯周病は気づかないうちに進行していることがあります。   そもそも、歯周病が進行するとどうなるのでしょうか。   答えは、「骨が溶けてしまう」のです。 すると歯はグラグラになり、やがて抜けてしまいます。   骨が溶ける時に痛みはないのか?   はい、たいていは痛くありません。   痛みが出てくるタイミングは、グラグラしてきた時です。 つまり、重度歯周病になって初めて痛みを感じてくることが多いのです。   そうなると歯周病の治療を施してもあまり大きな改善は見込めません。   その前に歯周病を治さなければならないのですが、 自覚症状が乏しいため、ご自身ではなかなか気づけません。   そこで重要なのが歯科医院での定期検診です。 検診では表面に見えているステインやプラークを落とすクリーニングだけではなく、 歯周ポケットと呼ばれる数値を計測したり、 レントゲン写真で骨の吸収の有無を確認しています。   本日はそんなお話です。   歯周病に罹患されている患者さんです。 当院に受診された際の最初のレントゲン写真です。 矢印で指している部分の骨が溶けてしまっています。 ここが歯周病が進行している部分です。   歯周ポケット検査についてですが、 健康な歯ぐきでは歯との間の溝(歯周ポケット)が2~3mm程度ですが、 歯周病になるとこの溝が深くなっていき、数値が上昇します。 つまり、歯周ポケットの数値が高い=歯周病が進行している ということになります。   この数値が最初のレントゲン写真時の歯周ポケットの数値です。 2~3mmが健常ですから、この数値は良くないことがわかります。   ここで歯周病を食い止めないと、気づかないうちに歯がグラグラになっていきます。     まずは歯の根元に虫歯があるので、治療をします。 根元に虫歯があるということはその部分が普段うまく歯みがきできていないのです。 そして虫歯により穴があいてしまっているとより細菌が溜まりやすくなり、 歯周病の進行にもつながります。   治療後の写真です。 根元がツルツルになり、歯みがきしやすくなります。   裏側から見た治療の前後の写真です。 歯周病の治療を進める際には、こうした歯みがきしやすい環境づくりも大切なのです。   では、ここで歯の根元をもう一度よく見てみましょう。   歯周病が進行していると話しましたが、 歯周病の最大の原因である“歯石”はついていますか? はい、ついてないですよね。 なのに歯周病は進行している。 なぜでしょうか。   答えは、「歯ぐきの中に歯石が隠れているから」です。 そうなんです。 歯周病が進行しているということは深い歯周ポケットができている、 そしてその歯周ポケットの奥のほうに歯石が潜んでいるのです。 その状態でいくら頑張って歯みがきしても歯石は取れません。 なので歯周病の治療が必要なのです。   治療のイメージはこんな感じです。 深い歯周ポケットの奥のほうに歯石がついているので、 まずはその歯石を見える状態にする必要があります。 歯ぐきに切開を入れ、めくって歯の根元を目視で確認します。 もちろん麻酔をしているので痛くはありません。 その状態で歯石を取り、歯根をツルツルにします。   以上の点をふまえて実際の治療を見てみましょう。 出血が苦手な方はとばしてください。         歯ぐきをめくるとブヨブヨした細菌の感染部分が見えてきます。 これを取ってきれいにしていくと、   歯の根元の表面についた歯石が見えてきます。 これが歯周病が進行する原因です。 歯石、歯の石と書いていますが、これは歯周病菌の塊です。 細菌は小さくて目に見えないはずなのに、目視で確認できるほど菌が凝縮して溜まっているのです。 プラーク(歯石になる前の状態)1gには1000億もの細菌が存在しています。 それが歯石となって硬くなり、歯ぐきの中に潜んでいるわけですから、 炎症がおきて、骨が溶けていくのも納得がいくと思います。   歯石を取って、歯根の表面をツルツルにします。 そのあとは歯ぐきを縫って元の状態に戻します。   下の歯も同様に歯ぐきの中に隠れている歯石を取っていきます。 普段はきれいに歯みがきしているつもりでも、 歯ぐきの中にこんなに歯石が残っているなんてわからないですよね。   ということで、歯ぐきの中の歯石を取った後はどうなったのか。 治療の前後を見てみましょう。   治療前 治療後   いかがでしょうか。 レントゲンで見ると、歯周病により一度溶けてしまった骨がまた少しずつ回復しているのがわかります。 歯周ポケット検査の数値も改善がみられました。   もともと歯周病が進行していた箇所ですから、歯みがきがうまくできていないと、 炎症が再燃する可能性は十分に考えられます。 歯周病の治療は一度治療しておしまいではなく、 毎日の適切な歯みがきと、定期的な歯科医院での検診が必須です。   心配な方はまず一度歯科医院を受診してください。 気づかないうちに歯周病は進行しています。 歯ぐきの中に隠れている歯石があれば、まずはそれを見つけてきれいに取り除きましょう。   治療期間 3ヶ月 治療費 保険診療 治療のリスク 再発する可能性がある  

2023.01.31

きれいに見えても実は歯周病かも

埼玉県桶川市にある歯医者、アズ歯科桶川院の歯科医師、鈴木です。 今回は歯ブラシで血が出るといった主訴で来院された方です。 歯医者に来るのは数年ぶり。 普段は1日2回の歯ブラシのみで食べ物がはさまった時のみフロスを使用するとのことです。 初診時の口腔内写真です。     歯周病の検査も行います。 検査の内容は歯と歯茎の隙間にある歯周ポケットを目盛りのついたプローブと呼ばれる器具で深さと出血の程度、歯の揺れを確認します。 これによってレントゲンだけでは分からない歯周病の進行程度を評価します。   初診時 上の検査の数字が赤いところは出血する部分です。 口の中は綺麗に見えますが、ほとんどの部分から出血し、歯周ポケットも4mm以上で歯周病に該当する歯がほとんどです。 歯周病とは磨き残しなどが原因となり、歯を支える骨が少しづつ溶け、歯がグラグラしてくる病気です。 症状がない間に進んでしまうため、多くの方が気づかないうちに歯周病に罹患しています。 詳細は以下に記載してあります ↓↓↓↓ https://www.as-dc.com/treatment/perio.html   現在の歯周病の状態を患者様に説明し、治療に入ります。 まず初めに、歯の表面に付着している歯石と汚れを除去し、再度付着しないように歯磨き指導を行います。   その後、歯周病検査を再度行います。 赤く出血する部分は少し減りましたが、歯石が取れたことで歯周ポケットが測りやすくなり数値が大きく出た部分もあります。 向かって左側が口の中では右にあたりますが、上の奥歯はポケットの数値に比べ、歯の揺れと噛んだ時の痛みが続いたため抜歯になりました。 この検査結果を元に、歯茎の中に隠れている歯石を除去していきます。   除去後、再度検査を行います。 写真を撮って歯茎の状態を確認します。 最初に比べ、歯茎が引き締まり、歯と歯の間の隙間が見えてきているのがわかります。 この状態でも、まだ歯周ポケットが一部深いままで出血する部分もあります。 ここから、歯周病が進行しないよう定期的なメンテナンスで対応していくか、歯周ポケットが減るよう外科処置などの、より踏み込んだ治療に移行するか相談します。 今回はフラップ手術と呼ばれる歯周外科治療を希望されたため、必要な部分に行いました。   外科処置後に再度検査を行います。 数値も出血する部分もだいぶ減り、メンテナンスで維持が可能な口腔内環境にすることができました。   メンテナンス移行前の口腔内写真です。   歯周ポケットが減るのに合わせて歯茎は下がりましたが、歯ブラシや歯間ブラシで清掃できる部分が増えたため、歯周病の進行を抑えることができます。 歯周病治療には歯肉の炎症が減り、歯肉が下がることによって歯周ポケットが減少し改善する方法と、骨を新たに作る再生療法によって歯周病の改善を目指す方法があります。 歯の周囲の骨のなくなり方、歯周病の進行程度、また患者様の希望によって治療方法を検討しています。 レントゲン写真、CT、口腔内写真、マイクロスコープなどを使用し、分かりやすく精度の高い歯周病治療を行えるようスタッフ一同努力しています。 お気軽にご相談ください。   治療期間  4ヶ月 治療費 保険診療 治療のリスク 歯茎が下がり、冷たいものがしみる可能性がある  

2022.12.16

パウダーでクリーニングしたことありますか?

桶川にある歯医者、アズ歯科桶川院の歯科医師、中村です。   プラーク(歯垢)という言葉を聞いたことはありますか? 食べ物の残りカスが歯の表面につき、細菌が繁殖したもので、白くネバネバしています。 食後8時間程度でプラークができるといわれ、プラーク1mgのなかには約300種類1億個もの細菌が存在しています。   プラークは口臭の原因になります。 プラークに含まれる細菌が、硫化水素(温泉のガスのような臭い)やメチルメルカプタンといった臭いの強いガスを作ります。 また虫歯やその周囲の食べカス、歯周病が進行したときに歯周ポケットから出る膿みも嫌な臭いを発するため、口臭の原因となると考えられています。 口の中にプラークをなるべく残さないためには、毎日の歯磨きが重要です。 プラークには粘着力があり、水に溶けないので、うがいではとることができません。 歯ブラシでブラッシングするのが基本ですが、歯と歯の間の汚れは歯ブラシでは半分程度にしか落とすことができません。 デンタルフロス(糸ようじ)や歯間ブラシという専用ブラシで磨くことが必要です。 不十分な歯磨きのため、プラークが長期間、歯の表面についているとき、唾液に含まれるカルシウムやリン酸がプラークに沈着して(石灰化)、石のように硬くなったものが歯石です。 プラークは、およそ2週間で歯石となります。 歯石の除去には、そのもととなるプラークをつかなくするための毎日のブラッシングが肝心ですが、少しでも取り残すとそこから増えますので、正しい歯磨きでプラークを完全にとることが必要です。 しかし、お口の中から100%完全にプラークをなくすことは困難で、数か月程度でたいていの方には歯石が沈着してきますので、歯科医院で定期的に歯石除去(スケーリング)することが効果的です。 その歯科医院で行われる専門家による徹底した歯面清掃をPMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)といいます。 専用の機器とフッ化物入り研磨剤を使用して、歯みがきで落とせない歯石や磨き残したプラークを中心に全ての歯面の清掃と研磨を行い、う蝕や歯周病になりにくい環境を整えます。   実際の治療を見てみましょう。   クリーニング希望で来院された患者さんです。 ほとんどの歯に歯石が沈着しているのがわかります。   前歯では歯石付近の歯ぐきの腫れが顕著です。 このように、歯ぐきに炎症を引き起こしていると、歯磨きの時に出血がみられます。 しかし、出血したから歯磨きを止めてしまうと、原因となっている歯石が残っているため、歯ぐきの炎症は治りません。 そこで、歯科医院での専門的な歯面清掃であるPMTCの出番です。   実際の治療を見てみましょう。   https://youtu.be/gPup5os5EJ4   このクリーニングの様子は別の患者さんのものですが、治療の内容は同じです。 「歯石を取るのは痛そう」 「血が出るし、こわいなぁ」 という声を以前はよく耳にしましたが、 最近のクリーニング機器は音も小さく、 歯医者特有の臭いもないため、ストレスなく治療を受けていただけると思います。 実際にはこのような機器を用いて、 先端のこのノズルから“フラッシュパール”とよばれる平均54μmの細かいパウダーを吹きつけて、スピーディーにプラークやステインを落とします。   PMTCを行った後、一週間後の写真です。 表面に付いていた歯石がキレイに落ちており、周囲の歯ぐきの腫れが改善しています。   治療の前後を見比べてみましょう。   治療前 治療後 治療後に黒く見えている部分は虫歯なので、今後は虫歯の治療も行います。   治療前 治療後 前歯の歯ぐきの腫れが引きました。   治療前 治療後 奥歯も歯ぐきの腫れが引いたことがわかります。   一回のクリーニングでここまで改善しました。 歯ぐきの中に潜んでいる歯石もあるため、引き続き歯周病の治療は必要になりますが、 見た目がキレイになったこともあり、 患者さんのモチベーションも高まって、楽しく治療を継続できています。   「歯の表面に着色があって取りたいけど、治療が大変そうだし、どうしようかなぁ」 とお悩みの方は、ぜひ一度最新のクリーニングを受けに来てください。 白くてキレイな歯を取り戻しましょう。   治療期間  1ヶ月 治療費 保険診療 治療のリスク 定期的なメンテナンスをしなければ元に戻ってしまう  

2022.12.06

歯周組織再生療法

桶川にある歯医者、アズ歯科桶川院の歯科医師、中村です。   本日は、患者さんから聞かれることの多い歯周組織再生療法についてお話したいと思います。   歯周病とは、 歯周組織、つまり、歯ぐきと骨が炎症を起こしてしまうものです。 炎症を起こした結果、歯ぐきは腫れ、骨は溶けてしまいます。   なぜ炎症が起きてしまうかというと、 主な原因は、歯の根元に歯石が付いていることです。   歯石とは、 プラーク(歯垢、細菌のかたまり)が石灰化して硬くなったものです。   歯ブラシやフロスでは、歯石は取れません。   衛生士さんによる専門的な清掃により歯石を取り去ることで、 炎症を止める、つまり歯周病を治すことができるのです。   歯周病により歯ぐきが腫れていた場合、 治療によって、腫れは引きます。 これは何となく想像がつくと思います。   では、 歯周病により骨が溶けていた場合、 治療によって溶けた骨は元の状態に戻る、 つまり、 再生するのでしょうか。   実際の治療を見てみましょう。     下アゴの歯、一番奥の歯です。 患者さんに聞いてみると、 この歯の後ろには親知らずが埋まっていたけど抜歯した、とのことでした。   レントゲンを見てみます。 親知らずがあったせいでしょうか。 歯の根元に歯石が付いていて、その周りの骨が吸収しています。 実は、このようなケースは多いのです。 この歯は歯周病が進行しているせいでグラグラしていました。   先ほど述べたように、 歯周病を治すためには歯石を取らなければなりません。   しかし、歯石は歯ぐきの中の深いところに付いており見えません。 そのため、手術によって歯ぐきの中を実際に見て、 付いている歯石を取り去る必要があります。   こちらが実際の手術時の写真です。 黒くなっているところは虫歯、 その下のモヤモヤしている部分が歯ぐきの中に付いている歯石です。   歯石を取り去った後の写真です。 根の表面が見えてキレイになっているのがわかります。   手術直後のレントゲン写真です。 歯石は取れていますが、もちろん骨は溶けたままで凹んでいます。   歯周病の原因となっていた歯石を取っても、 骨は元に戻る、つまり、再生されないのでしょうか。   半年後のレントゲン写真をお見せします。   いかがでしょうか。 骨が元の位置まで戻っているとは言えませんが、 凹んでいた部分はなくなっています。 つまり、骨は一部再生したのです。   もう一度、治療の前後で比較してみましょう。   治療前 治療後   骨が再生しているのがわかります。 ただし、健全な状態まで骨が回復したとは言えません。 歯の長さの半分くらいまでしか骨がないので、 歯周病により骨が吸収してしまった状態であることは変わっていません。   ですが、治療前と比べて、 局所的に骨が溶けている部分はなくなり、 骨のラインがなだらかに、そしてはっきり見えるようになっています。   これにより何が言えるのか。 それは、歯周病の進行が一旦ストップしたということです。   治療前の状態を放置しておくと、骨が溶ける現象はどんどん進み、 やがてグラグラがひどくなり抜けてしまうでしょう。 しかし、 今回の治療により骨の吸収は一旦止まり、そして一部分が再生しました。 実際に治療後、歯のグラグラはなくなり、症状は改善しています。   今後は、この歯周病の進行がストップしている状態を維持したいのです。 急に歯ぐきの中に歯石が付くことはありません。 毎日正しい歯みがきを続けることで、再び歯石が付くことは防げるでしょう。   歯周病は生活習慣病と言われています。 治療後も日々のケアを怠るとすぐに悪化してしまいます。 一度治療すれば終わりではなく、ずっと向き合っていく必要があるので大変です。   それでも、 今回お話したように、一部は再生させることも可能です。   今回の記事を読んで、 少しでも歯周病治療に興味を持っていただけたら幸いです。   治療期間 7ヶ月 治療費 保険診療 治療のリスク 治療後も歯周病が進行する可能性がある  

2022.11.10

フラップ手術〜歯ぐきの中の歯石〜

桶川にある歯医者、アズ歯科桶川院の歯科医師、中村です。 クリーニングを希望されて来院される方は多いです。 なんのためにクリーニングするのかというと、歯石を取るためです。   歯石とは、歯周病菌が目に見えるほどに増えて、集まって硬くなっているものです。 歯の根元にくっつくのですが、付いたままになっていると炎症が起きて、 歯を支えている歯ぐきは腫れ上がり、骨は溶けてしまいます。   歯石は鏡で見て見えるような部分だけでなく、 歯ぐきの中にも潜んでいる場合があります。   これは手術中の写真です。 歯ぐきの中にもこのように歯石がついています。   歯石をキレイに取り、歯の表面をツルツルにします。 このあと、歯ぐきを縫って元の状態に戻します。   歯ぐきの中についている歯石は普段は見えません。 気づかないでいると、歯周病が進行して歯がグラグラになり抜けてしまいます。 歯周病は痛みが出ないまま進行することが多く、本人では気づかないことも多いのです。 歯科医院で定期的に歯周病検査をして、このような歯ぐきの中の歯石がないか確認する必要があります。     こちらは奥歯の間についている歯石です。 みがきづらいところに歯石はたまります。   歯ぐきの中についている歯石も、このように見える状態にして、 確実に取る必要があります。   キレイになりました。 このあと、歯ぐきを縫って元の位置に戻します。   今日ご紹介した治療は、 歯周病治療の一つ、フラップ手術というものです。 気になる方は受診時に聞いてください。 様々な方法があるので、一人ひとりに合った方法をご提案します。   歯石がついていると、歯みがきの時に出血することがあり、歯周病のサインとなります。 思い当たることがあれば一度受診してみてください。   治療期間 1ヶ月 治療費 保険診療 治療のリスク 治療後もメンテナンスが必要である  

2022.10.31

腫れてる原因は?〜根の穿孔〜

歯科医院には日々、「歯ぐきが腫れた」というお悩みの患者さんがたくさんいらっしゃいます。   多くは歯石がついている事による歯周病が原因です。   しかし、中には他の理由で歯ぐきが腫れている方がいらっしゃいます。   今日はそのうちの一つ、 根管治療後に、根に穴があいている(穿孔している)ことが原因で起こる炎症についてお話しします。       この方は以前、根の治療(いわゆる神経の治療)を受けたが、 歯ぐきが腫れて痛いというお悩みで来院されました。   レントゲンで確認します。   白いところは詰め物です。 根の周囲の骨が、周りよりも一層黒く映っています。 これにより、この部分は炎症で骨が溶けてしまっているということがわかります。   では、なぜ骨は溶けてしまったのでしょう。 最初にお話ししたように、骨が溶ける原因の多くは歯石がついていることによる歯周病です。   しかし今回の場合は、この歯の周りに限局して炎症が進んでいます。 実は、他に原因があるのです。   CTを撮ってみました。       よく見ると、白く映っている詰め物が歯の外側に出ているのがわかります。 そして、その周囲に炎症が広がり、骨が溶けているのです。   別の角度から見てみましょう。   根の先端から歯の横のほうにかけて骨がなくなっています。 また、この炎症の範囲が、 「下歯槽管」という顎骨の深いところを通っている管に近接していることが分かります。 ここには大事な神経や血管が通っており、炎症が波及すれば神経症状が出てくることもあります。     歯の外側に汚染物質が出ていて炎症が広がっている場合、 根の治療で炎症を治すことはできません。 この歯を抜歯して、その周りの感染して悪くなっている部分を取り除く必要があります。     この後、抜歯した時の写真を載せます。 苦手な方は飛ばしてください。           抜歯した穴を見ています。 細菌感染によりブヨブヨになってしまっている部分が見えるので、これを取り除きます。   すると本来の骨が見えてきます。   抜いた歯を見てみましょう。   真ん中のあたりに穴があいているのが分かります。 また、下のほう、根の先端からは詰め物が飛び出しています。   実際にこの周囲で炎症が広がっていました。 抜歯後は、感染している部分を取り除き、治癒を待ちます。 歯ぐきが腫れていた原因の歯がなくなれば、その部分の炎症は数日で落ち着いてきます。   その後、歯がなくなった部分に人工的に歯をまた作り、機能を回復させるのです。 それがいわゆる入れ歯、ブリッジ、インプラントなどです。       いかがでしたか。   ・治療したはずなのに歯ぐきが腫れてきた ・ずっと歯周病の治療をしているけど腫れが治らない というお悩みをお持ちの方は一度見せてください。   歯ぐきが腫れている原因は別にあるかもしれません。     治療期間 3ヶ月 治療費  保険治療 治療のリスク 抜歯が必要な可能性が高い          

2022.06.25

腫れてる原因は? 〜歯の破折〜

歯ぐきが腫れると歯周病かなと思いますよね。   歯周病の原因は歯石であることはご存知でしょうか。 ただ、今回はそれとは別の原因で歯ぐきが腫れてくる原因についてお話ししたいと思います。   ズバリ、歯の破折です。 歯の根元が折れてしまう、亀裂が入ってしまうということです。   歯の神経の治療をした場合、その中に金属などで土台を作ります。 すると歯の内部が薄くなってしまい、脆くなってしまうのです。   そこに噛む力が加わることで亀裂が入ると、 外側の歯周組織に炎症が起こってしまいます。 その結果、歯ぐきが腫れてきて痛くなるのです。   実際の例をお見せします。   銀歯のふちの歯ぐきが腫れています。 指で押すと膿が出てくる状態でした。   噛み合わせている写真です。 負担が強かったのがわかります。   レントゲンで見るとこの部分です。 炎症が原因で骨が溶けています。   被せ物を外してみました。 細かい亀裂が入っていて黒くなっています。 こうなると抜歯以外に炎症を止めるすべがありません。   抜歯した歯の写真です。 亀裂が入っているのがわかります。 その周囲の歯根膜がなくなっています。   抜歯をした後は炎症が治ります。 抜いた直後は穴が空いていますが、 時間が経つとふさがってきて歯ぐきができてきます。 その後、入れ歯などで代わりの歯を作ります。   腫れてるけど何が原因かわからない、 ずっと歯周病の治療をしているけど腫れが治らないという方は、詳しい検査をしてみると歯の破折が発見されることがあります。 気になる方は一度ご相談ください。   治療期間 3ヶ月 治療費  保険治療 治療のリスク 抜歯が必要な可能性が高い  

2022.06.14

歯茎の中の歯石

右下の親知らずの腫れを主訴に来院された患者様です。 口の中を見てみるとまっすぐに生えた親知らずです。 腫れた原因を調べるため、歯周病の検査とレントゲンの撮影を行います。 上のレントゲン画像で下の1番左側が親知らずですが、その周りが黒いように見えます。 これは周囲の骨が吸収している可能性があります。 また、歯周病検査の結果、親知らずが重度の歯周病であることがわかりました。 歯周病の進行度をより正確に調べるためCTを撮影し調べます。   下の画像は顔を正面から見たものです。 根の周りが黒く覆われています。 これは周囲に骨がない状態で黒い部分には膿疱が存在します。   これは顔を横から見た画像です。 一番右端が親しらずです。 歯の側面がボコボコしているのが分かるでしょうか。   これは歯石です。 歯茎の中に汚れが溜まり蓄積したものです。 この歯石が原因で歯周病の進行が起こります。 今回は大きく骨の吸収もあり、その病巣が神経に近く麻痺などが出るリスクを説明の上、抜歯を行いました。   抜歯した歯の写真です。 歯についている黒い部分は歯石です。 歯茎の下に隠れていました。   歯石は硬く歯ブラシでは落ちないため、専用の器具が必要になります。 また、歯茎の下深くに隠れていると器具も届かず除去が難しくなります。 そのため、歯石が多く沈着しないよう定期的に歯科医院でのメンテナンスがとても大事になってきます。 症状がなくても気になるところがなくても、歯科医院での健診をおすすめします。 治療期間 1週間 治療費  保険診療 治療のリスク 抜歯後腫れる可能性がある

2022.05.11